ほっとモナカのホットひと息

ブログ再開! 厭世気味にシャウトするよ。

映画で百合も悪くない

元々が一般文芸に百合を見出す人で、マンガやアニメにおける百合作品に詳しいかというと実はそうでもありません。ましてや映画なんてノータッチもいいとこで、そもヒューマンドラマのような作品はほとんど観てません。(大好きなキューブリック作品の中には人間に迫ったようなお話もあるけれど)

だもんで、ある人に「キャロルを観てないんですか!?」と勧められたときには、新しい一歩を踏み出すいい機会だと、その場でアマゾンプライムのウォッチリストに入れました。普段は人のおすすめをそのまま飲み込むようなことしないんですけど(性格が悪いから)、やっぱり物を語れる人って稀有な存在ですし従ってみたくもなります。

読書ノートはあれど映画ノートを作っていないもので、ちょっと感想を書き起こしてみようと思います、備忘録として。ふわっとしそうだけどふわっと読んでね。

 

時代設定が'50年代ということで、人々の思考も今とは異なるとは思いますが、メインとなる女性ふたりの生き方・悩みは現在であっても同じように抱えている人が多いのではないでしょうか。

主人公のテレーズは写真家になるという、当時の女性としては夢想家のそしりを受けそうなほど大きな夢を持っています。そんな彼女へ、夢を叶えるための端緒を運んでくれそうなのが、NYタイムズで働く彼氏です。仕事を紹介してくれる上に、生涯を共にしようと誘われますがどこか彼女は乗り気になれません。きっと、夢を追いかけることとは別の、女としての生き方に違和感を覚えていたのでしょう。

そこへ現れたのが、キャロルという女性です。離婚協議中の夫と、娘を持つ人妻。自分の持ち合わせないエレガントなその姿にテレーズが惹かれるのも無理ないでしょう。キャロルは竹を割ったとまでは言わないまでも、遠回しな言い方を嫌って現実を見据える胆力のある人。離婚も、自分の人生を自分で選び取りたいという願望の現れです。反対にテレーズは若さゆえに、夢を捨てきることも堅実に生きることも曖昧なままここまでやってきました。でもその純真さに、キャロルは惚れ込んだのです。

「天から落ちたよう」とはキャロルの言。

この映画、撮り方に主観を多用してます。テレーズがキャロルに投げかける視線も、キャロルがテレーズを目で愛おしむ様子も、決して親愛でなく性愛のそれで、しかも交わることがないのです。おかげで作品の前半はドキドキが止まらず。同じ香水をふたりでつけて嗅ぎ合うところなんてえっちすぎてヤバかった。鏡台越しに見つめ合ったときには心臓止まるかと思いましたね。ベッドシーンはこの上なく美しかったです。

テレーズは青い情熱のままにキャロルを愛します。ところが、キャロルは彼女の前から姿を消します。離婚のためとか娘のためとか、理由は様々ありますが、一番はこの恋を過ちとして終わらせたかったから。キャロルは幼なじみと肉体関係を持ったがゆえに苦しんだ経験があり、同じ思いをテレーズにしてほしくなかったのです。

現在でもようやく性的マイノリティーの権利が認められるようになったぐらいです。テレーズの彼氏は、記者という仕事柄や新聞社で勤められるインテリ層であることもあり、むしろキャロルのことに関して寛容すぎる態度をとっていました。当時で他の多くの人々が同じ行動に出るとは思えません。非難する程度では済まされないでしょう。

こうした壁に阻まれて、ふたりは引き裂かれるのですが、さて恋の炎はそうやすやすと吹き消されるものでしょうか? 結末はぜひその目で確かめてみてください。

 

いい作品を紹介してもらえて感謝しきりです。個人的にはテレーズの着てる服がかわいすぎて好き。映画というお花畑で白い花を見つけることも悪くない!

 

キャロル(字幕版)